甘縄神明神社
鎌倉で最も古い神社の一つで、由比長者といわれた染屋太郎時忠が奈良時代に創建したと伝えられています。源頼義が相模守として下向したとき、この社に祈願して一子八幡太郎義家が生まれ、その義家が社殿を再建し、鎌倉に幕府を開いた頼朝以下、政子・実朝も崇敬しました。
古くからの長谷の村社で、もとは神明社、神明宮などともよばれていましたが、現在は甘縄神明神社が正式名となっています。
- 祭神:天照大神
- 創建:和銅3(710)年 染谷太郎太夫時忠
- 再建:永保元(880)年 源義家
ミニガイド
- 見越しが崎
このあたりは、京から鎌倉に上ってきて、極楽寺坂を越え、いよいよ市内に入ろうとという場所です。この甘縄神明社のある小高い丘は鎌倉に向かう目印だったらしく、「見越しが崎(御輿が嶽)」といわれ、古来、歌に詠まれています。
鎌倉や御輿が嶽に雪消えて
水無能瀬川に水まさるなり
左京大夫顕仲
- 時宗の産湯の井
社殿下の一帯は、有力御家人であった安達氏の屋敷があったところとされていました。『吾妻鏡』によると建長3(1251)年5月15日、安達氏の「甘縄第」で北条時宗が誕生したことが記されており、境内に「時宗公産湯の井」があります。
鎌倉時代の主要人物である時宗が、この地で産まれたと考えると、面白いですね。ただし史実としては確かめられませんが。
このように、この神社は鎌倉の歴史と結びついています。近代では、鳥居を出た右てに昭和の文豪、川端康成が住んでいたところでもあります。