松葉ヶ谷の道

松葉ヶ谷の道 日蓮の足跡

 日蓮は建長5(1253)年5月、安房国の西海岸から船で三浦半島の米ヶ浜に渡り、葉山・逗子を経て名越を越え、鎌倉に入った。その名越の切通から降りてきた日蓮が通った道が現在、横須賀線に平行している道だった。途中には喉の渇いた日蓮が錫杖を叩いたとこに水が湧き、口を潤したという「日蓮の乞水」といわれる井戸が残っている。この泉は「鎌倉五名水」の一つに数えられている。またこの道の途中、バス通り(新道)に抜ける路地には「鎌倉十井」の一つ銚子の井戸もある。
 この道はまた、鎌倉中心部に入る昔からの古道で「大町大路」とも云われている。

日蓮乞い水

鎌倉五名水のひとつ
 安国論寺から南に向かい、長勝寺の手前の横須賀線踏切を渡り、長勝寺を訪ねる前に左手の線路沿いの道に入っていきます。この横須賀線と並行する旧道は鎌倉中心部から伸びて名越切通に向かってる「大町大路」ですが、右手に用水が流れており、たどっていくと「南無妙法蓮華経日蓮水」という石碑の脇に井戸があります。これがは、建長5(1253)年5月、鎌倉に入った日蓮が、名越の峠を降りてきた所で渇いた喉を潤したといわれる所です。それ以後、この井戸水は多くの旅人の喉を潤し、また、村の人びとの田畑を潤したと伝えられ、鎌倉五名水のひとつとされています。
<鎌倉五名水> 梶原大刀洗水、銭洗水、日蓮乞水、金龍水(建長寺)、甘露水(浄智寺)

銚子の井

鎌倉十井のひとつ
 旧道から狭い路地を通って新道に出る途中の民家の脇に、井戸があります。狭いので見落としてしまいそうですが、これが「鎌倉十井」のひとつ、「銚子の井」です。六枚の花弁の形をした銚子状の蓋があるところから名づけられたといいます。ただし現在はまわりに民家が立ち並び、井戸も家の脇の狭いところに押しやられているので、見落としてしまいそうです。表のバス通りに出ると、足もとに小さな「銚子の井」の碑があるので、こちらから見に行った方が良いかもしれません。
鎌倉十井> 甘露井(浄智寺)・瓶(つるべ)井(明月院)・泉井(扇ヶ谷)・扇井(扇ヶ谷)・鉄井(八幡宮前)・星月井(坂の下)・底脱井(海蔵寺)・棟立井(覚園寺)・銚子井(長勝寺)・六角井(飯島)※このうち、扇井は民家の中、棟立井は覚園寺境内奥の谷にあり、現在見ることはできません。

日蓮の草庵跡

松葉ヶ谷草庵旧跡
 長勝寺前のバス通りを逗子方面にむかい、途中で右にはいり、坂道をしばらく登っていくと、途中で左手に「松葉ヶ谷草庵旧跡」の碑と、大きな日蓮像があります。現在は長勝寺の東南の離れた山腹になっていますが、かつては長勝寺の境内であり、日蓮が最初に草庵を結んだ地であるとして長勝寺が管理しています。ここも妙法寺、安国論寺と並ぶ、日蓮の草庵址の候補の一つです。

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